東西それぞれのシリーズで活躍した猛者たちが集った2023年を締めくくるGrand Finalは、 経験豊富な小野田選手がポールトゥウィンで完勝!
2021年に名称が変わり、今年で3年目となった「TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup(以下、Yaris Cup)」は、2000年から始まった入門向けワンメイクレースの「GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race」の後継シリーズとして人気を集め、今年のGrand Finalには82台がエントリーした。
今年は東西シリーズともに全7大会で開催され、西日本シリーズは3月に「鈴鹿サーキット」、東日本シリーズは4月に「モビリティリゾートもてぎ」で開幕した。
西日本シリーズを振り返ると、7戦中6戦で表彰台を獲得した前年のシリーズチャンピオンでヴィッツレースの頃から活躍している#1神谷裕幸選手の強さが光った。開幕戦で3位になると、続く第2戦・第3戦を連勝。第4戦は表彰台を逃すものの4位でゴールし、着実にポイントを稼いでいくと、シーズン終盤も優勝1回と2位2回を獲得し、2年連続のシリーズチャンピオンに輝いた。
東日本シリーズでは#30島拓海選手がコンスタントにポイントを積み重ねていった。開幕戦のもてぎで3位に入り表彰台に登る幸先の良いスタートを切ると、シーズン中盤に行われた十勝では3戦連続で優勝とファステストラップを獲得する。シーズン終盤は相性が良くないというSUGO大会と富士大会が続いたが、中盤で得たリードを維持し初のシリーズチャンピオンとなった。
CVTクラスの西日本シリーズは、#54塚原啓之選手がシーズン全7戦で優勝&ファステストラップを獲得する圧倒的な強さで2年連続チャンピオンを獲得。CVTクラスの東日本シリーズは、開幕から2連勝し前半戦で3勝した#49塚原臣吾選手がシリーズをリードしたが、シーズン後半戦で3連勝し、全戦で2位以上に入り安定感を見せた#20乙津竜馬選手が逆転でシリーズチャンピオンを掴み取った。
各シリーズで1年間熾烈な争いを勝ち抜き、シリーズチャンピオンが決まった後に開催されるGrand Finalは、東西屈指のYaris遣いが一堂に会し実質日本一を決める特別戦だ。
今年は11月25日に予選と決勝を行うワンデイでの開催となった。全82台がエントリーしているものの、決勝レースを戦えるのは54台となるため、朝の8時30分から予備予選を実施。そこを通過した31台と、各シリーズのランキング上位に入り、シード(決勝進出権)を獲得した23台によって決勝へ向けての予選が争われた。
予選は予定通り12時35分から開始されると、各車一斉にコースイン。計測3周目に#3小野田貴俊選手が、それまでのコースレコードをコンマ6秒以上更新する2分14秒010でトップに立つ。計測4周目には#14 CANDY TAKEKAWA選手、#5大木隼人選手、#1神谷裕幸選手が自己ベストを記録するも、全体ベストタイムは更新できず#3小野田貴俊選手がポールポジションを獲得した。またCVTクラスでは、#20乙津竜馬選手が2番手をコンマ6秒以上引き離す2分16秒250のコースレコードでポールポジションとなった。
予選終了から約2時間後の14時55分に10周の決勝レースがスタートする。上位陣では3番手の#5大木隼人選手がスタートで出遅れ、後方の2台に並ばれるとコカ・コーラコーナーで2つ順位を落としてしまう。さらに後方では、3ワイドや4ワイドで1コーナーを駆け抜けていくYaris Cupらしいスタートとなった。トップ争いは、どちらも地元トヨタ販売店であるトヨタユナイテッド静岡からエントリーする小野田選手とCANDY TAKEKAWA選手がワンツー体制で3番手以下を引き離しにかかるが、去年のGrand Finalを制した神谷選手も離されず食らいついていく。2番手と3番手の間隔が離れては接近するのを繰り返すが、トップを走る小野田選手がペースコントロールして後ろを引っ張り、巧みに順位をキープする。
後続集団では、6周目の1コーナーで4番手を走行していた#61松本康平選手が神谷選手にオーバーテイクをしかける。前に出たかと思われたが少し行き過ぎてしまい、逆に3つポジションを落としてしまう。その後も4~9番手までは各車がテールトゥノーズの接近戦が続いていたが、ファイナルラップに入った直後の1コーナーで#551廣島嵩真選手がオーバーテイクをしかけ、1ポジションアップ。さらに6番手の#61松本康平選手が、ADVANコーナーでイン側に飛び込み1つ順位を上げた。トップ3の小野田選手、CANDY TAKEKAWA選手、神谷選手はオープニングラップから1度も順位が変わることなくチェッカーを受けた。CVTクラスでは、#20乙津竜馬選手が総合順位では2つ下がったものの、ポールトゥウィンを決めた。
Grand Finalチャンピオンコメント
#3 小野田貴俊選手
レースウィークは木曜日(11月22日)から走り始めたのですが、調子が良かったので普通に走り切れば上位に入れると思いました。結果としては予選がすべてだったのですが、想像以上のキレイな走りができてコースレコードも更新できました。後続にチームメイトが入ってくれたのも、援護射撃になりました。決勝レースは集団で横並びになると4番手以降の選手が迫ってくると思い、チームメイトと後続を離せればと考えたのです。想像通りにはいきませんでしたが、多少の余裕をもってチェッカーを受けられました。来シーズンはゼッケン1を貰えるので、各サーキットで速さを見せたいです。
東日本シリーズ年間チャンピオンコメント
#30 島拓海選手
昨シーズンは東日本シリーズで2位、グランドファイナルも2位と悔しい結果となったので、今季は是が非でもチャンピオンを獲る気持ちで臨みました。またマシンが3年契約の最終年だったので、集大成にしたいと考えていました。コースとしては十勝と菅生が得意だったのでコストは厳しかったのですが十勝の3連戦に出場して、3つとも勝てたのがシリーズチャンピオンに繋がったと思います。チームには学生がメカニックとして帯同してくれていて、チャンピオンを見せられて良かったです。来年は学生とともに、できればステップアップを考えています。
西日本シリーズ年間チャンピオンコメント
#1 神谷裕幸選手
2022年シーズンは西日本シリーズのチャンピオンとグランドファイナルでも優勝できて、今季に向けては目標が定まらないこともありました。それでも走ってみると速いライバル達がいて、張り合っているうちにモチベーションが上がっていきました。シーズンは、決勝レースで急に雨となったオートポリス戦以外で表彰台に登れて安定した成績を残せたと思っています。飛び抜けた速さはなかったですが、グランドファイナルでも活躍でき良いシーズンでした。来シーズンは分かりませんが、まだ改善に余地はあると思っているので、参戦したら連覇を狙います。
Yaris Cupポイントランキング
東日本シリーズ
Pos | No. | Car | Driver | Total Point |
---|---|---|---|---|
1 | 30 | WinmaX☆関東工大Yaris | 島 拓海 | 161 |
2 | 62 | N群馬GスパイスFKμYaris | 松原 亮二 | 109 |
3 | 753 | 越の白鳥μ男気一番ZEKURA Yaris | 笠原 潤一郎 | 94 |
4 | 34 | 東京IRCLET's Yaris | 渡部 圭介 | 92 |
5 | 9 | カーサポートヒロワコーズYaris | 沖ノ井 宣隆 | 82 |
6 | 3/90 | トヨタユナイテッド静岡Yaris | 小野田 貴俊 | 76 |
西日本シリーズ
Pos | No. | Car | Driver | Total Point |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | N中部GRGミッドレス スノコ制動屋Yaris | 神谷 裕幸 | 187 |
2 | 551 | TEAM 5ZIGEN Yaris | 廣島 嵩真 | 153 |
3 | 99 | KTG P京都N京華4YIC京都Yaris | 行 和久 | 122 |
4 | 438 | ネッツ神戸チームネッコクンYaris | 森口 優樹 | 111 |
5 | 200 | CAR-ZOO CHARGE Yaris | 村上 凌晟 | 103 |
6 | 19 | BRP★名神タイヤNUTEC Yaris | 黒田 保男 | 98 |
東日本シリーズ(CVTクラス)
Pos | No. | Car | Driver | Total Point |
---|---|---|---|---|
1 | 20 | Tモビリティ神奈川YarisCVT | 乙津 竜馬 | 196 |
2 | 49 | WAKO'S ツカハラWMYarisCVT | 塚原 臣吾 | 188 |
3 | 680 | ROKUHA Yaris CVT | 高木 啓補 | 106 |
西日本シリーズ(CVTクラス)
Pos | No. | Car | Driver | Total Point |
---|---|---|---|---|
1 | 54 | WAKO'SツカハラWMYarisCVT | 塚原 啓之 | 217 |
2 | 85 | 運気上昇ドヤランドμmr YarisCVT | 目出し帽 | 89 |
3 | 53 | Team 橋本組YarisCVT | 金山 和弘 | 86 |
ルーキー・オブ・ザ・イヤー賞※
シリーズ | No. | Car | Driver |
---|---|---|---|
東日本シリーズ | 137 | 藤岡自動車WM関東工大Yaris | 藤岡 慶 |
西日本シリーズ | 960 | デジタルランド クロケットWM Yaris | 竹村 寛成 |
※2022年以降に国内Aライセンスを取得したドライバーが対象で、各シリーズで最も成績が良かったドライバー。
Grand Final決勝レース結果
Pos | No. | Car | Driver | Lap | Total Time/Gap |
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | トヨタユナイテッド静岡Yaris | 小野田 貴俊 | 10 | 22’34.934 |
2 | 14 | トヨタユナイテッド静岡 Yaris | CANDY TAKEKAWA | 10 | 0.329 |
3 | 1 | N中部GRGミッドレス スノコ制動屋Yaris | 神谷 裕幸 | 10 | 0.749 |
4 | 551 | TEAM 5ZIGEN Yaris | 廣島 嵩真 | 10 | 0.338 |
5 | 61 | WinmaX☆SPEC7 Yaris | 松本 康平 | 10 | 0.862 |
6 | 5 | TUS FATOMS Yaris | 大木 隼人 | 10 | 0.238 |
Grand Final決勝レース結果(CVTクラス)
Pos | No. | Car | Driver | Lap | Total Time/Gap |
---|---|---|---|---|---|
1 | 20 | Tモビリティ神奈川YarisCVT | 乙津 竜馬 | 10 | 23’18.293 |
2 | 49 | WAKO'S ツカハラWMYarisCVT | 塚原 臣吾 | 10 | 1.718 |
3 | 144 | ネッツ東都RC Yaris CVT | 柚木 宏一郎 | 10 | 12.102 |
【告知:2024年Yaris Cup開催スケジュール予定(2023年12月1日現在)】
北海道シリーズ
Round | 日程 | 開催場所 |
---|---|---|
第1戦 | 6月30日(日) | 十勝スピードウェイ |
第2戦 | 8月25日(日) | |
第3戦 | 10月20日(日) |
東北シリーズ
Round | 日程 | 開催場所 |
---|---|---|
第1戦 | 5月11日(土) | スポーツランドSUGO |
第2戦・第3戦 | 8月31日(土)~9月1日(日) |
関東シリーズ
Round | 日程 | 開催場所 |
---|---|---|
第1戦 | 7月13日(土) | 富士スピードウェイ |
第2戦 | 11月2日(土) | 富士スピードウェイ |
第3戦 | 11月24日(日) | モビリティリゾートもてぎ |
関西シリーズ
Round | 日程 | 開催場所 |
---|---|---|
第1戦 | 4月28日(日) | 岡山国際サーキット |
第2戦 | 6月9日(日) | 岡山国際サーキット |
第3戦 | 9月28日(土)~29日(日) | 鈴鹿サーキット |
九州シリーズ
Round | 日程 | 開催場所 |
---|---|---|
第1戦 | 6月16日(日) | オートポリス |
第2戦 | 7月27日(土) | |
第3戦 | 11月10日(日) |
Grand Final(特別戦)
Round | 日程 | 開催場所 |
---|---|---|
特別戦 | 調整中 | 富士スピードウェイ |